
都内で連続爆破事件が予告される──そんな前代未聞の緊迫した状況を、取調室の駆け引きと現場での捜索を並行して描くリアルタイム・サスペンスが映画『爆弾』です。原作は呉勝浩のベストセラー同名小説。映像化にあたり、観る者を張り詰めた緊張で包み込みます。
物語は、酔って逮捕された“ごく普通の中年男”スズキタゴサク(佐藤二朗)が「これから1時間おきに3回爆発する」と予告したことから始まります。彼の言葉が現実となり、警視庁の類家(山田裕貴)らは、密室の取調室で謎解きのような駆け引きを強いられる一方、倖田(伊藤沙莉)らは東京都内を駆け回って“爆弾”の在りかを探します。スズキの不可解な発言・仕草が次々とヒントにも挑発にも見え、観客はスクリーン越しに推理を突きつけられる感覚に陥ります。
監督は永井聡、脚本は八津弘幸と山浦雅大。山田裕貴、伊藤沙莉、染谷将太、佐藤二朗、渡部篤郎ら個性豊かな俳優陣が集合し、原作の緊張感を現代の東京を舞台に再構築しています。映像は“リアルタイム”感を重視し、観客に時間の経過と焦燥感を巧みに伝える演出が印象的です。
見どころ(ネタバレなし)

- 取調室の心理戦:密室での言葉の応酬が伏線となり、観客自身が“答え合わせ”を求められるような作り。
- 現場描写の緊迫感:都内各所を駆け回る捜索シーンはスピード感があり、リアルな危機感を演出。
- キャラクターの歪み:スズキという“どこにでもいそうな人物”が持つ不気味さと挑発性がじわじわ効いてきます。
感想(個人的な印象)
原作の“問いを突きつける”力をそのまま映像に落とし込んだ作品で、単なる犯人探しやアクション映画とは一線を画します。ラストまで「誰が仕掛けたのか」「それが何を意味するのか」を考え続けさせられ、観終わったあともしばらく思考の余韻が残りました。演技陣の芝居も安定しており、とくに取調室の緊迫シーンは見応えがあります。
こんな人におすすめ
- ミステリーの“謎解き”を頭で追いたい人。
- 会話劇に緊張感を求める人。
- 東京を舞台にしたスリリングな群像劇が好きな人。
最後にひとつだけ──この映画は観客に問いを投げかけます。「本当に“爆発”は悪なのか?」という挑発的なセリフが作品中に出てくるように、エンタメとして楽しみつつも倫理観や社会の不安を考えさせられる作品でした。気になる方はぜひ劇場で体験してみてください。
引用
コメントを残す