
――トランプ関税はなぜ強行されるのか?をやさしく解説
アメリカで続く“関税強化”のニュース。
そして、日本製鉄による米鉄鋼大手 USスチール買収問題。
これらは一見バラバラの話に見えますが、実は1つの共通点があります。
それは
「自国の労働者を優先する」という発想
です。
この記事では、浜田宏一・イェール大学名誉教授の解説をもとに、
難しい経済の話を “誰でも分かる” ようにまとめました。
■ トランプ関税は「アメリカの労働者」を最優先する政策
トランプ氏は、日本車などの外国製品に高い関税をかけようとしています。
例えば日本車に25%の関税がかかれば、アメリカでの日本車価格は上昇。
すると、日本企業は
「輸出より、アメリカ国内に工場を作った方が得」
となり、現地での雇用が増えます。
つまりトランプ氏は
「外国のモノは入れたくない。でも外国企業が工場を建てて雇用を増やしてくれるなら歓迎」
という姿勢なのです。
かつての共和党は“市場重視”で自由貿易派でしたが、
今の共和党=トランプ支持層は
「労働者階級を守る政党」に変化しつつある
というのがポイント。

■ USスチール買収問題は「日米の産業競争」だけではない
日本製鉄によるUSスチール買収は、
「日本がアメリカ企業を買う」という単純な話ではありません。
背景には…
・アメリカ鉄鋼業の変化(高炉→電炉)
・中国との技術・産業競争
・アメリカ国内の労働者保護
が絡み合っています。
本来、USスチール側は買収に前向きでした。
しかし、米国内の労働組合は反対。
バイデン大統領も
「国家安全保障上の懸念」を理由に反対。
一方でトランプ氏は
「日本の投資は歓迎」と言いつつも、
経営権を完全に渡すことには慎重。
つまり…
■ 買収が成立しても、日本が自由に運営できるとは限らない
・解雇権を制限される
・経営者の国籍に条件が付く
など、政治的配慮が求められる可能性が高いのです。
■ トランプの関税は自由貿易のルールを壊す
世界はこれまで
「最も安くて効率の良い国から買えばよい」
という自由貿易を基本としてきました。
しかしトランプ氏は
「世界に敵を作ってでも、自国の労働者を守る」
という方向にシフト。
関税が上がれば、国内産業に人は戻るかもしれませんが、
・労働者の育成には長い時間がかかる
・部品の輸入も高くなりコスト増
・アメリカ製の品質が上がるまで長期間かかる
という“痛み”も伴います。
さらに、関税強化は
WTOの国際ルール違反
であり、世界の貿易システムを混乱させています。
中国やEUのように
「対抗関税」で戦う国もあり、
それが続くと世界貿易は停滞します。
■ 日本が「イエス」と言ってはいけない場面
日本は農業政策(古古米騒動など)で自由貿易的ではない側面もあり、
アメリカから「不公平」と見られることもあります。
また防衛費の負担についてもトランプ氏は批判的。
そのため日本にも、
“譲るべき部分” は確かにある。
しかし――
世界の貿易体制を揺るがすような
「強硬な関税政策」 にまで
簡単に同調してはいけない、と浜田教授は警告します。
もし日本がアメリカの強硬政策に追従し続ければ、
自由な世界貿易が崩れてしまう可能性が高いからです。
■ 市場はトランプの政策に「騙されない」
興味深いのは、市場の反応。
・関税強化が発表 → 株価は下落
・撤回・緩和が報じられる → 株価は上昇
これは
「市場は政策の間違いを見抜く」
からです。
政治はごまかせても、
市場や世界経済はごまかせません。
■ まとめ:米騒動とUSスチール問題の共通点
冒頭の答えですが、
両者に共通するテーマは…
✔ 「自国の労働者を守れ」という強烈な政治メッセージ
アメリカでは今、
自由貿易より「国内労働者」の方が優先されています。
その流れはUSスチール買収にも、
トランプ関税にも、
アメリカ政治全体にもつながっています。
そして日本は、
・譲るべきところは譲る
・守るべき自由貿易の原則は守る
というバランス感覚が求められている――
というのが浜田教授の主張です。
引用
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